座談会
第1回 なぜ英語なのか?

Web実装に携わるエンジニアやデザイナーの仕事に関わってくる英語。どんなふうに付き合っていますか? この座談会ではピクセルグリッドのスタッフに、そんな質問を投げかけてみました。

2015年02月12日発行

目次

この座談会では、エンジニアとして「どのように英語と付き合っているか」を語ってもらいました。まずは、自分がどの程度の英語力を持っているかから話が始まり、普段仕事で触れている英語へと話題が移ります。英語との付き合い方、一緒に考えてみませんか?

参加者は次の通り。ピクセルグリッドでは毎週、ネイティブの英語講師による英語のレッスンを1年ほど続けています。全部で4クラス=4レベルに分かれているので、それぞれのレベルから最低1名は参加してもらっています。

順番はレッスンのレベルの高い順です。

  • 小山田 晃浩(@yomotsu)フロントエンド・エンジニア
  • 坂巻 翔大郎(@GeckoTang)フロントエンド・エンジニア
  • 中村 享介(@kyosuke)フロントエンド・エンジニア
  • 中島 直博(@nakajmg)フロントエンド・エンジニア
  • 小原 司(@saucerjp)アート・ディレクター

現在の英語力は?

——それでは自分の英語力がどれくらいあるのかを、自己紹介してもらうところから始めたいと思います。「聞く」「話す」「読む」「書く」、それぞれどの程度のレベルが教えてください。

小山田:書くのは……2000くらいですかね。

——え?(笑)

坂巻:じゃあ、それが基準ですか。2000が基準?

小山田:読むのも、だいたい2000くらいかなあ。話すのはだいたい1500くらいで、聞くのは1000くらい。

小原:それゼロを2つとってもいいんじゃないですか(笑)?

中村:いやいや、こっちの英語できないグループのために、スケールを大きくしてくれてるんだよ(笑)。

全員:(爆笑)

小原:そうか、そういうことか。

——いや、もっと具体的にお願いします。パワーじゃわからない(笑)。

小山田:書くのは、「My language Exchange」なんかで英語圏の人とチャットできるレベルです。読むのは、チャットなどは読むし、英語の技術ドキュメントも読みます。それでも、ちょっと長い文章になると、嫌だなあって思います。話すのは、日常会話というか……旅行に困らない程度の英語なら話せます。でも、面と向かってがっつり会話するのは、キツいですね。つまり、カタコトってことです(笑)。

海外カンファレンスでLT

中村:あれ、でもシンガポールでなんかしゃべってなかった?

——ああ、JSConfでライトニング・トークをしたんですよね。ネイティブのエンジニアを聴衆にして。

小山田:でもあれは旅行会話の延長くらいでしか話せなかった。

中村:そう?

小山田:あのライトニング・トークは準備してたカンニングペーパーがなくなったんですよね。

小原:カンペがなくなって「ヤバい」っていう状況で、あれっていうはすごいですね。すごく堂々と話している。

小山田:そうですねえ。まあ、スライドの図の力に頼りつつ。

小原:カンペがなくなって焦っている感じはまったくしなかったけどな。

小山田のライトニング・トーク@JSConf Asia 2015

完全な理解をしようと思わない

——じゃあ、英語レッスンのクラスのレベル順で、次はげこたん(坂巻)お願いします。

坂巻:書くのは、辞書見ながら書けば、技術ブログ程度なら書けるかな。辞書がないと、フレーズが出てこないですね。もし頑張って書いても「I haveなんとか。I なんとか、I なんとか」ってずっとI(アイ)が続くような文章になってしまう。接続詞がおかしいとか、文法がおかしいとかというのが出てくるので、見てると、だんだん子どもの文章のようで、悲しくなってくるんですよ(笑)。

——なるほど。

坂巻:英語のブログは毎日読んでます。でも完全に理解はできてないし、そもそも完全に理解しようとは思ってません。2割くらいわかればいいかなって思ってます。読むときはツール使って読んでます。自分でAlfredを使った検索機能を作ってますから。話すのは、ぜんぜんできないんです。相手が日本語がわかる人か、日本人が話す英語に慣れている人なら……。

全員:(笑)

坂巻:例えば何かがほしくて、それを売っているお店に行くとか、目的がはっきりしているならなんとかなる。お決まりのフレーズしかないから。一応、海外旅行にいっても、タクシーに乗ったりはできて、ひとりで帰ってこれるレベルですね。よもつ(小山田)さんよりはぜんぜんできないです。言葉が出てこない。あとそもそも日本語だって出てこない。

全員:(爆笑)

小原:コミュ障(笑)?

坂巻:例えば、英語のレッスンでも「週末何した?」ってお決まりの質問があるんですけど、そもそも週末何したか覚えてないとか(笑)。

——それ、言語関係ないですね(笑)。

小原:お昼何食べたっけ? 状態だね(笑)。

坂巻:そういう日本語の事情もあって、英語が出てくるのが輪をかけて遅いです。聞くのは英語のレッスンでの先生との会話ならいける感じなんですけど、ネイティブの英語は速すぎて、聞き取れても半分くらい。そして、その中に知らない単語が入ってくると、最終的には1割聞けているかどうか。聞いているときは「あー、はいはいはい」、つまり状況から察するに……おれなんか話しかけられているぞ、と(笑)。

——状況から察するにたぶんこういうことを言われているのではないかと、推測する?

坂巻:そうですね。たぶん海外カンファレンス行ったときも『フロントやってないで、Node.jsとかやりなよ』っていうような話をされていたと思う(笑)。でもそういうときも「うんうん」って聞いているだけで、自分から話すことはできなかったですね。話が速いと頭の中が真っ白になってしまうし(笑)。もう、何言われているのかすらわからない。書くのや、読むのは自分のペースでいけますけど。

——聞くのや話すのは相手がいることですからね。

坂巻:そうですね。僕の場合、5分のライトニング・トークは相当準備して、カンペ作らないとできない。

ディズニー映画の単語は拾える

——なるほど。きょうすけさん(中村)はどうですか?

中村:僕は英語はずっと苦手で、いまだに苦手ですね。レベルとしては、うーん、海外に行って運がよければ帰ってこれるレベル。

全員:運がよければ(笑)!

中村:新婚旅行でハワイに行ったときも、妻と合わせて半人前くらいだった。すごい頑張ればレストランのメニューの半分は何書いてあるかわかる程度ですね。読むのは、技術書も読んでます。技術文章だと出てくる単語もわりと偏っているので、大丈夫なんです。でもたまに見かける英語の契約書の文章だったりすると、もう知らない単語が8割くらいで、まったくわからない(笑)。

——聞いたり、話したりはどうです?

中村:聞くのは頑張ろうと思って、ちょこちょこ英語を聞いたりしているので、単語が少し拾えるくらいにはなってきたと思います。子どもがディズニーの映画を英語で繰り返し見たりしているので、それを聞いていると、ストーリーを知っていることもあって、映画に出てくる単語はそれなりにわかるようになってきましたね。まあ、使えない単語も多くて、これ覚えてどうするんだろう? っていうのはありますけど(笑)。

全員:(笑)

中村:書くのはホントダメですね。たぶん中学1年生レベル……っていっても今はもう小学校から英語やっているそうなので、ほんとうにそうなのかはわからないですけど(笑)。僕らの時代の中学校から英語始めました、ってときの初期のレベルだと思ってもらればいいと思います。それすら、書けるかどうか怪しい(笑)。

海外サービスのメールがわかる秘訣

——なるほど(笑)。小原さんいかがです?

小原:僕は、読む、書く、話す、聞く、すべて、よもつ(小山田)が2000だとすると、10くらいといったところです(笑)。2000あってよかった。そうじゃないと、10とすら言えないところだった(笑)。

坂巻:まあ、小数点とれれば(笑)。

小原:あ、そうだね(笑)。会社の英語のレッスンでは今、4クラスあるのかな。

——そうですね。

小原:先生と面接をしてクラス分けをしたんだけれども、僕はその中でいちばん初心者のクラスにいます。テキストの1ページ目からやりましょう、っていうクラス。普段も僕は英語にそれほど接してないです。英語で書かれた仕様書も、よくわからないまま読んでいるから、間違って把握するといけないので、結局、日本語でも読むんです。ちょっと時間を無駄にしている。実際、だいたい英語だけで読んでいたことは、日本語を読むと間違って把握していたことがわかるんです。目的としては、日本語がないと困るんです。

——ああ、なるほど。

小原:海外のサービスを使っていると、機能変更や、使えなくなる機能などのお知らせが全部英語でくるんですけれど、それはなんとなくわかった気になっていることが多いです(笑)。

——その理解は合っていることが多いですか?

小原:いや、確かめるすべがない(笑)。

全員:(笑)。

——例えば、「この機能が新しく追加されました」って英語で書いてあったとして、それはサイトに行くと実際にその通りだったりします?

小原:うん、それはあまり難しくないというか……。わりとアップデートとか機能を記述する単語って、Gitなんかを使っていると、Gitのコメント用の英語とかと似ているので、わかるんですよね。

——コメント用の英語っていうと?

小原:fixedとか、addedとか。そういうのをざっと知っておくと、ああ、今回はバグフィックスしかしてないな、とかおおざっぱなことはわかるんです。

——なるほど。

小原:そのほかの「書く」「聞く」「話す」はダメですね。今、2歳の子どもがいるんですけど、その子が話す日本語を聞いていると、その子の日本語に僕の英語は届いていないと思う。感覚的にですけど。

坂巻:いや、そんなことはないでしょ(笑)。

小原:単語を連呼してわかってもらうレベルですからね、僕のは(笑)。「聞く」のは英語の先生が、僕らのレベルに合わせてゆっくりしゃべってくれるのが、かろうじて聞けるくらい。英語のポッドキャストも聞いているんですけど、それは第二外国語をマスターしようっていう主旨なので、先生よりさらにゆっくりなんです。それはかなり聞けます。これが、TED*とかになっちゃうと、まったくダメです。100%ダメです。

*注:TED

TED(Technology Entertainment Design)とは、年1回世界的な講演会を主催しているグループ。TEDが主催する講演会では、さまざま分野で活躍する人がプレゼンテーションを行う。その様子が動画で配信されており、小原はときどきそれを視聴しているとのこと。

——プレゼンテーションをするネイティブの英語ですからね。

小原:そうなんです。単語もそもそもわからないし。話すことのレベルは、日本で英語で道を聞かれて、ぎりぎり答えられるかどうかという感じ。

ゲームプレイの実況で耳が慣れた

——じまぐさん(中島)どうです?

中島:僕は読むことなら辞書を使えば、だいたいのニュアンスは汲み取れます。書くのはひどいです。Facebookコメントの一文を書くのも、けっこう調べて書きます。話すのもあんまりですけど、聞くのはちょっとマシになってきました。去年ずっと、海外のプロゲーマーのゲーム大会の実況中継を観てたんですよ。

——ゲームプレイの実況?

中島:そうです。試合の実況は英語なので、実況も楽しみたいと思いながら観ていました。だんだん耳が慣れてきて、単語がちゃんと拾えるようになりました。でも意味がわからない単語があるので、頻出する単語で意味がわからないものを調べていく、というのを繰り返しました。

——英語の声だけ聞いて、単語がわかります?

中島:発音でだいたいの綴りがわかります。

——おお、すごいですね。

中島:どうしてもわからないものはカタカナ表記で調べて、それっぽいものを探します。聞くのだけは、けっこうできるようになったんですけど……。昨年11月に海外カンファレンスに行きましたよね。

——はい。

中島:聞くのがわかっても、こっちが相手に返せないんですよね。向こうが言っていることがわかっても、こちらの話せる単語が少なすぎて、話せない。

——ああ、なるほど。相手の言うことがわかっていても、それにちゃんと返事できないと「あなたの言うことがわかっている」ということもうまく伝わらないですよね。

中島:そう。わかっているけど、答えられないっていう状態。だからすごくバランス悪いです。

日本語のドキュメントは「遅い」

——いままでの話の中で、普段どんなときに英語に触れているかって話がちょっと出たので、それを聞いていきたいと思うんですが。

中村:仕事で触れる英語ということですよね。日本語の情報がないライブラリを使うときには、英語ですね。英語のドキュメント、ブログ、それからソースコード自体を読みます。あとは、ライブラリの公式サイトはほとんどの場合が英語なので、必然的に英語を読むことになります。

中島:技術的なドキュメントは、基本は英語のものを読みますね。

坂巻:そうですね。ドキュメントは英語のものですね。

中村:そう。日本語の情報があっても、あまりそれが信用できなくて……。

中島:うん、情報が古いことも多いんですよね。

——ああ、なるほど。翻訳が正確かどうかという問題じゃなくて、バージョンアップなどで情報自体が古くなっているってことなんですね。日本語のものは。

中島:そう。信じて「使う」わけにはいかないです。

小原:ライブラリはコードが付いてまわるから、コードで情報の内容を確かめるみたいなことができる分、概念的なことを書いてある仕様書を読むよりは理解の度合いがマシかなと思います。

中村:例えば、jQueryで検索すると、うさぎのキャラクターのサイトが上位にくるんです。なぜかというと、昔は使える日本語のリファレンスだったので。でも、最終更新が2010年の1月で止まっていて、情報がすっかり古くなってしまっているんですよね。jQuery 1.4がリリースされましたって書いてあるからね(笑)。

坂巻:これを超えられる日本語リファレンスのサイトがないので、いまだに上位にきちゃうと思うんですけれどね。

小原:だから、みんな見ちゃうんですよね、きっと。

中村:そうだろうね、今、「jQueryって何だろう?」って調べ始めるとしたら、僕も見るだろうから。

中島:それから、ライブラリのアップデートの内容とかも全部英語で読んでます。

中村:僕もアップデート情報が書かれている公式のブログとかは読んでいるかも。

——そういう情報は全部読んでいるんですか?

中村:いや、全部読んでいるわけじゃないです。何が起きたのがかわかる程度。日本語の読み方とそこらへんは同じです。一字一句全部読んでるわけじゃなくて、そこに書いてあるものの中から、自分に必要な情報だけを拾っていく。

中島:重要そうなやつを。

——どういう単語に注意して読んでるんですか?

中島:breakingとか。破壊的とか、互換性がないって意味ですけど、そういう情報は注意して読んでます。

中村:だいたいそういう情報は箇条書きになっているので、まずは箇条書きのところから読んで、breakingとかヤバそうなことが書いてないかどうか見る。

小原:そう、まず箇条書き部分を探す(笑)。

中島:あと、deprecatedとかですかね。非推奨って意味なんですけど、そういうものは今後なくなる可能性がある。

中村:ああ、確かに、そこらへんの単語は知っておいたほうがいいよね。

小原:jQueryは特にそういうことが多いですね。

中村:最近はあまり変わってないんじゃないかな。昔はすごかったけど。文法自体が変わったりしていたから。

——出たばかりのライブラリって、アップデートで大きく変わっていくことが多いですね。

中村:そうですね。jQueryが0.Xのときは大きく変わってました。平気でこれまでのコードが全部動作しなくなるような変更が入っていた(笑)。

坂巻:READMEだと、Installationとか、Configurationとか、Usageとか見出しレベルの単語を見つけて読んでいけばいいです。全部読む必要なないので。

中村:そう。全部読む必要はない。きちんとしている公式サイトだと、そもそも情報がわかりやすくなっていることが多いですね。頭のほうだけ読むと、だいたいのことが理解できるように作られている。

定番の英語ドキュメントW3C仕様書は?

——ドキュメントの話が出たところで、英語の仕様書をどうやって読んでいるのか、その読み方を少し聞いてみたいのですが。例えば、W3Cの仕様書って基本は全部英語ですよね。

小山田:W3Cの仕様書は読むのは難しいですね。

中島:量が多い。

中村:「読む」っていうのは、仕様書を頭から全部読むという意味ですか? それとも自分が調べたい仕様を調べるということですか?

——例えば、自分の知りたい仕様を調べるときは?

中村:それは目次を検索して、その項目を読みます。

小原:用法を調べたいのだったら、W3CよりもMDN*を見ることが多いかな。

*注:MDN

CodeGridではしばしば登場する「Mozilla Developer Network」です。HTML、CSS、JavaScriptの細かな仕様がよくまとまっているサイトです。日本語版と英語版があります。

中村:うん、そうだよね。

小原:そのほうが結果的にわかりやすい。

中村:コードのサンプルもちゃんと載っているしね。

小山田:W3Cの仕様書は、なんだかもやっとしているんですよ。

小原:うん、なんだかまわりくどい。

中島:実装が伴ってないこともあるし。

——W3Cの仕様書は読む難易度としては高めなんですか?

中村:はい。でも、ECMA Scriptの仕様書に比べたらまだ楽だと思いますけど。ECMA Scriptの仕様書は、ひどい(笑)。

小原:まあ、W3Cの仕様書は頭から読んでいくようなものではないような気はしますね。

坂巻:求めている情報がないと感じることが多いかな。

中村:HTML4の和訳でいいものは全部読んだりしましたけどね。

HTML5の仕様を英語で全部読むのは無理

——例えば、HTML5の仕様って昨年10月に勧告になりましたけど、あの英語版を全部読んでおこうというような気持ちはない?

中村:無理です(笑)。ぜんぜんそういう気はない。

小原:一回読んで覚えられるようなものならいいけど、やっぱり必要として調べているときじゃないと、覚えなかったりもします。

——やっぱり、必要に応じて適宜読むもの?

中島:そうですね。それでも「読みたい」という人には、自力で読めるようになってくださいという感じです。

坂巻:うん、頭から読もうとすると「読めない」ってなってしまう。必要なのは、自分が「この情報ほしい」ってところだけなので。

小山田:まずTOC(Table of Contents)を見て、そこから辿っていって……。

坂巻:Command+Fってやりますね。

中村:そうそう(笑)。

坂巻:英語なので、単語の横にはスペースが入っているから、すぐに見つかりますね。

仕様書は日本語訳と合わせて読むのがいい

小原:僕のような英語力だと、英語で読んでもその理解が正しいかどうか、確証が得られないから、結局、「日本語も」読むことになるんですよね。

中村:仕様書には頻出する単語があるから、そういうのは押さえておくといいのかもしれないけれどね。

中島:日本語訳と照らし合わせて読むっていうのもいいかもしれない。日本語訳は基本、情報が古いんですけど、だいたいの内容は同じですし、情報の掲載形式は完全に一緒ですから。

中村:仕様書も勧告されているものだったら、日本語のものでもいいと思います。

——ああ、新しい、古いを気にしなくていいですもんね。

中村:そうです。途中のDraft(草案)なんかの日本語訳は、あまり参考にならないと思っていいですけど。

最初はやっぱり避けていた英語

——じゃあ、みなさんこの仕事を始めた当初から、自分の使っているライブラリなどの必要な情報に関しては、英語のものを読んでいるわけですか。英語を避けるということはなかった?

中島:いや、最初は避けてましたよ。

中村:最初は避けてたね(笑)。

中島:最初はみんな避けるものなんですけど、いつか気付くんですよ。遅いということに。日本語の情報は「遅い」って(笑)。

——アップデートに対して、タイムリーに対応していないと。

中村:何回か痛い目にあって、ようやく気付くんだよね。

中島:そう。日本語の情報を信じて、その情報に基づいてコードを書くんだけど、なんかうまくいかない。そこで英語のドキュメントを見たら「あ……。この情報古いやつだ」って気付く。それをたぶん2、3回くらい経験すると「最初から英語のドキュメント見たほうがよさそう」と気付くのかなと思います。

小原:一次情報大事だねって思いますよね。それは。

坂巻:僕は今は日々の情報収集は英語のメールマガジンでやっているんですけど、最初は日本語のサイトとか見て、「おおすごい」ってなってたんです。でも、英語のドキュメントとか、ブログを直接見るようになると、「あれ? 2週間くらい遅れてる」って気付いたんです。だいたい、海外で誰かが重要な記事を書くと、それが英語の記事で紹介されて、その紹介記事が日本語訳されるんです。

——なるほど。

坂巻:英語の紹介記事になるまでが1週間、あとそれを日本語にするのに1週間くらいかかるから、2週間くらい遅いのかなって思います。もっと早いところもあるのかもしれないけれど。そういう遅さがわかってから、じゃあ一次ソースを直接読んだほうがいいやって思うようになりました。あと、実際に英語の一次ソースを見ると、日本語に訳された二次ソースが間違っていることに気付いたりするんですよね(笑)。

中村:あー、それはあるね。結局、翻訳した人の理解力によるからね。

坂巻:そう、「あ、実際は、日本語サイトに書いてあったようなことが言いたいんじゃないのね」って思うことがあった。なので、日本語のサイトでは、技術情報をほとんど見なくなりました。

ドキュメントの英語は難しくない?

——信頼できるリソースを探すと、だいたいそれは英語で書かれている、ということですね。

小山田:英語のドキュメントっていっても、そんなに難しい英語は使われてないですからね。例えば、よく使われているUnderscore.jsのドキュメントも、そんなに難しくないです。

——じゃあ、あんまり英語だからといって敬遠する必要もない?

小山田:そうですね。

中村:はい。

中島:そうだと思います。

坂巻:まあ、たまにやたら難しいのもありますけど(笑)。

中村:謎のジョークが書かれていたりね(笑)。

坂巻:BEMのドキュメントなんかは、量も多いし、概念的なことや、いろいろな背景が書かれているので、ちょっと難しいですけどね。

——「使い方」か書かれているものだったら、そんなに難しくはない、と。

坂巻:そうですね。

小原:確かに「概念」の説明がされているドキュメントはやばい(笑)。まったくわからないことが多いです。

中島:設計思想とか、それを汲み取るのは難しいですね。

——まあ、それは英語じゃなくて、日本語でも同じ傾向がありますよね。

(次回へ続く)

中村 享介
中村 享介
フロントエンド・エンジニア

デザイン事務所のWebデザイナー、Web制作会社のWebディレクターを経て、フリーランスのFlash・JavaScriptエンジニアとして独立後、株式会社ピクセルグリッドを設立。 多数のリニューアル、新規立ち上げを取り仕切った経験をもち、情報設計、デザイン、フロントエンド、サーバーサイド、ネットワークといったひと通りのWebサイト制作技術に精通する。Web制作の他にも経営、講演、執筆など幅広く活動している。

著書に『WebクリエイティブのためのDOM Scripting』(単著:毎日コミュニケーションズ、2007年4月20日)、『jQuery逆引きマニュアル』(共著:インプレス、2010年12月17日)などがある。

小山田 晃浩
小山田 晃浩
フロントエンド・エンジニア

2006年よりWeb制作会社にてUI実装や運用業務を経験した後、2010年よりフロントエンド・エンジニアとして株式会社ピクセルグリッドに入社。これまでの経験の大半は大規模Webサイトの壊れにくいHTML/CSS設計、及び実装。また、SVG, Canvas, WebGLの扱いも得意としている。 外部に向けたアウトプットも積極的に行っており、カンファレンスでの講演などを多数こなしている。Tokyo WebGL Meetupの主催者。2011年から2015年まで5連続でMicrosoft MVP for IEを受賞。 著書に『Webデザイナー/コーダーのための HTML5コーディング入門』(共著:エクスナレッジ、2011年3月12日)や『CSS3デザイン プロフェッショナルガイド』(共著:毎日コミュニケーションズ、2011年5月28日)』などがある。

外村 奈津子
外村 奈津子
エディター

情報出版社に在籍中、Mac雑誌、中高年向けフリーペーパー、コラムサイト運営、健康食雑誌、グラフィック・Web技術書籍編集、IT系ニュースサイトの編集記者を経験。その後フリーランスのエディター/ライターとして独立。2011年4月より株式会社ピクセルグリッドへ入社。ピクセルグリッドが提供するフロントエンド技術情報を提供するサービス「CodeGrid」の編集を担当している。行政書士試験合格(未登録)。

坂巻 翔大郎
坂巻 翔大郎
フロントエンド・エンジニア

大手ソフトウェアダウンロード販売会社、Web制作会社などで、マークアップエンジニア、プログラマ、サービス企画、ディレクターを経験。2013年、株式会社ピクセルグリッドに入社。HTML、CSS、JavaScriptなどをオールラウンドに担当。とりわけ、プログラマブルなCSSの設計、実装を得意とする。 趣味で作成したゲーム「CSS PANIC」は、JavaScriptを一切使わず、HTMLとCSSのみで実装。海外サイトで紹介されるなど話題となった。

中島 直博
中島 直博
フロントエンド・エンジニア

JavaScriptとCSSへの興味から大学院を中退してWebの世界に飛び込む。大手デジタルコンテンツベンダーにてHTML、CSS、JavaScriptなどフロントエンド全般の担当として、主にスマートフォン向けゲームの開発に従事。2014年1月にフロントエンド・エンジニアとして株式会社ピクセルグリッドへ入社。スマートフォンサイトの実装を得意とする。 また、在学中からhtml5jのスタッフとして、さまざまな技術系勉強会の運営に関わる。2019年、退社。

小原 司
小原 司
UIデザイナー

紙媒体をメインに制作しているデザイン事務所で広告デザインの基礎を学ぶ。2000年に独立。化粧品関連媒体の販促物を中心に、店頭グラフィック、パッケージ、POP、グッズ立案などを担当。2007年頃からWeb媒体へのデザインにも積極的に取り組み、クロスプラットフォームアプリのデザイン、画面設計、実装に携わる。現在では紙やWebの媒体にとらわれることなく、その媒体の特長を活かしたグラフィックデザインに励んでいる。 マンセル色相環とムーン&スペンサー配色理論を採用した配色アプリ『HUE360』の開発を自身で行っている。 著書に『改訂版 Webデザイナーのための jQuery入門』(技術評論社、2014年11月14日)がある。